東京六大陸
所在地: 鎌倉市御成町
規模: 40㎡
オフィス
竣工年月日:2015年4月
設計期間:2ヶ月
施工期間:1ヶ月
古き良き鎌倉の面影を忍ばせる今小路通り沿いにあるビルの一室に、オフィスを設計・施工させていただきました。窓からは扇ガ谷の落ち着いた山々が眺められ、その懐には、旧華族の邸宅であった古城のような洋館も見えます。そんな上質な空気を感じながら仕事をする場にふさわしく、このオフィスは個人の書斎をそのまま拡張したような趣となりました。足場板や躯体の鉄骨のラフな雰囲気を、ブラックの色味やインテリアが知的に抑制し、単純なナチュラルさとは異なる「意志ある自由」を感じさせます。無機的で無個性な事務所のイメージからは程遠い、主の存在を色濃く感じさせる空間は、そこでなされる仕事が彼にしかなし得ない特別なものであることを物語っているようです。
床に敷き詰めたのは、無塗装の足場板。ざっくりとしたラフな風合いが、オフィスでありながら自由を感じさせる。スマートなフォルムの黒の調度が、その空間を引き締めている。
躯体の鉄骨をそのまま現した天井は、限りなく黒に近いチャコールグレーで塗装。木製の羽がついたシーリングファンを合わせることで、硬質すぎない上質さを与えた。
壁には白を基調とした、ややグレイッシュなニュアンスのある塗装を施し、光を柔らかく拡散すると同時に木部のトーンと黒色を調和させている。お気に入りのコーヒーの道具が並んだバーカウンターの正面には、オフィスのコンセプトを絵で表現。空間全体のアクセントになっている。ペインター:Maho
オフィスが稼働し始めてから、必要が生じて可動式の棚を設置。色むらを効かせたブロンズで背面を塗装し、家具のような個性を持たせた。壁面塗装:
SQUARE METER
【BEFORE】施工前は、ピータイルの床にジプトーンの天井、並んだ蛍光灯、小さな給湯設備といった、いかにもありがちな事務所の様相だった。天井を剥がして現れた鉄骨も、赤錆色をしていた。今回の内装は全て、元の状態に復帰可能な方法で施工している。