愛犬たちのサンクチュアリ
所在地: 鎌倉市材木座
規模: 3LDK
竣工年月日:2016年4月
設計期間:3ヶ月
施工期間:2ヶ月
今なお古き良き鎌倉の面影を残す海辺のまち、材木座の石畳の小径の先に、まるで大切に隠されてきたかのようにあった可愛らしい古家。広い広い庭に初めて足を踏み入れた時、もうRさんの心は決まっていました。いつでも変わらぬ無邪気さで慕ってくれる愛犬たちを、ここで思い切り走り回らせてあげようと。四季を感じる樹々を配置した庭にはウッドチップを敷き詰めたドッグラン、1階はほとんど間仕切りのないフラットな大空間の真ん中にキッチンを。大判タイルを全面に使った床は庭に向かって新たに設けた掃き出し窓からテラスへと続きます。元の古家の佇まいを生かしながら、庭との連続性をさらに高めて生まれ変わったR邸。この家で、R一家の新しい物語が始まります。[ 設計デザイン:エンジョイワークス、施工:CALLAC、作庭:hondaGREEN、写真:
東涌写真事務所]
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1階は玄関から庭に面したリビングまで一続きになった大空間。既存の柱を残しながらも壁は取り払い、床には色むらのあるベージュの大判タイルを全面に敷いて、愛犬たちが心置きなく走り回れる室内へと改修した。階段下のスペースは愛犬たちの留守番スペース。出て行かないように金網の小さな扉がキッチン側にも玄関側にも付いている。雰囲気のあるウッディな天井は元のまま。新たに造作した建具の色は外壁と近いグレイッシュなペールグリーン。白とのコンビネーションが東海岸のビーチシックを思わせる。
料理好きで愛犬たちにも手料理を食べさせるという施主こだわりのキッチンはアイランド型。CALLACによるオリジナル造作で、収納扉のついた側面はシナ合板にウォルナット色のオイルステインを塗装、大きな天板はステンレスで上質に仕上げた。天井から吊り下げた照明もCALLACのオリジナル。アイアンの金網に木箱を被せ、中にはシンプルな電球がいくつか限りなく無作為な様子で転がっている。
広い庭は、この家の前の所有者の時にも世話をしていた鎌倉のガーデナー
hondaGREENが手を入れた。中央の芝生を丸く囲むようにウッドチップを敷き詰めたドッグランを巡らせ、愛犬たちの邪魔になりそうな樹々は間引いたり移植したりして整えた。紅葉や落葉も四季の移ろいとともに楽しめる、まるで自然の風景をそっと移植したような、リラックス感のある庭が出来上がった。1階の掃き出し窓から続くタイル張りのテラスが、庭と室内を一つにつなげている。
2階は元の家を極力生かした。壁を白く塗装し、和室だった部分をフローリングに変えた他はほとんどそのままだ。廊下も元の床板にやすりをかけてなじませた。冴えた白と味わいのある古い木部とのコントラストが効いて、和のつくりでありながら、どこか海外のヴィンテージハウスのような不思議な趣を醸し出している。
【BEFORE】元の家も、代々のオーナーによって大切に手入れされてきたため良い状態だった。壁に向いて料理する形のキッチンが時代を感じさせる。庭側の開口部も掃き出し窓ではなかった。