平屋+1のリノベーション
所在地: 逗子市小坪
規模: 1LDK
夫婦+犬1匹
竣工年月日:2016年8月
設計期間:3ヶ月
施工期間:5ヶ月
「家を住み替えても、また小坪に住みたいって思ったんですよ」と語る施主W夫妻の奥さま。マリーナ周辺のリゾートのような華やかさと、昔ながらの漁村の懐かしい風景が混在する小坪での暮らしは変えたくなかったと言います。都内のマンションから海の見える小坪の瀟洒なマンションに移り、今回3度目の購入となるW夫妻が選んだのは、日当りの良い高台にあった築48年の小さな平屋。昭和の香りのするその素材を、伊豆高原の吉村順三の別荘に着想を得てモダンなスタイルへとリノベーション、新たに寝室となる一部屋を増築しました。蛇足もなく不足もない、知性を感じる豊かな空間。お気に入りの北欧の家具やアーティスティックな照明が似合う、洗練された大人の住まいが完成しました。[ 設計デザイン:エンジョイワークス、施工:ワイズホーム、カラーコーディネート・調色・塗装・左官:
COAT KAMAKURA 、写真:
東涌写真事務所 ]
*メイキングブログを見る
柱や梁だけを残して壁・天井はいったん全て解体、ほぼスケルトンの状態から再構築した。天井はもとの位置よりかなり高くして古い梁を見せつつ、室内の柱は板で覆ってすっきりとさせ、温もりとモダンさを調和させている。左手奥の壁は、ガラスの粒子が混じった淡いグレーを用いて、色むらを生じさせる特殊な手法で塗装し、絵画の背景のようなニュアンスを出した。東側の壁にカテドラルのような窓を設けることで抜け感を作り、空間を広々と感じさせている。
キッチンは、リビング・ダイニングとは対照的に黒のタイルを用いて引き締まった印象にした。シャープで素っ気ない程にシンプルなステンレスが、この空間にインダストリアルな重厚さを与えている。まるで一流レストランの厨房のような、無駄のない導線がイメージできる。
西側に増築した寝室は、天井に木を張り、壁をペールブルーで塗装して、甘さ控えめながらも優しく落ちついた雰囲気に。壁に設置したヤコブセンの黒の照明がアクセントとなっている。
バスルームとパウダールームの境はクリアガラスで区切り、窓から光を取り入れて広々と感じさせている。バスルームに用いた幅広の白いタイルにグレイの目地の組み合わせや、洗面台回りのシンプルで丸みの少ないフォルムが都会的でスタイリッシュな雰囲気。
【BEFORE】ブロック塀で囲まれたもとの家には駐車場がなく、塀を壊して新たに造成した。勝手口のある昔ながらの小さなダイニングキッチンが時代を感じさせる。3つあった部屋は全て和室だった。