DIYで実現、色と素材で遊ぶ家
所在地: 逗子市久木
規模: 3LDK
夫婦+子ども2人
竣工年月日:2017年5月
設計期間:2.5ヶ月
施工期間:4ヶ月
一生の間に何度もあるわけではない自分の家づくりに、私たちはもっとコミットできるはずです。その方法は価値観や情熱、割ける時間・労力・コストなどによって人それぞれ。けれど、もし正解があるとするなら「自分が心底納得できること」ではないでしょうか。築38年の中古戸建をリノベーションしたM邸は、敷地内にあった大量の土の撤去に始まり、室内の壁や建具、床の塗装など多くの作業において施主自身が積極的にDIYを実施。開口部のサイズを変えない、天井を部分的にあらわしで仕上げるなど、心地よい空間をつくり出しながらもコストを抑える設計の工夫と共に、逗子駅徒歩圏の人気エリアにおいて、予算の中で今の自分たちにとってベストと呼べる家を実現しました。[ 設計デザイン:エンジョイワークス、施工:ワイズホーム ]
もともとの位置を大きく変えずに、カウンターの向きはダイニング・リビングゾーンにいる家族が見えるように設置したキッチン。飽きが来ないシンプルなステンレスは、白い壁と明るいトーンの木を基調とした空間の中でメタリックなアクセントになっている。ガス台の部分にはあえて壁をつくりセミクローズに。その壁の反対側には可動式のオープンな棚を設け、ダイニングルームにいる家族が誰でも出し入れしやすい収納スペースにした。
元は細かく区切られていた1階の壁を取り払い、キッチンから全体を見渡せる大きな空間へとつくり変えた。耐力を補強するため既存の柱に筋交いを付加しつつも、新たな壁で覆わずにリノベーションの象徴的存在として家の中心にあえてそのまま見せている。連続性を生かし、かつ空間に変化をもたらすため、天井は部分的に「あらわし」で仕上げた。これによって確保された高い天井高と、既存の低めの開口部が引き立て合い、安心感のある落ち着いた空間になっている。ダイニングの照明は北欧のアーティストによる手作り。
リビングからつながるスペースには、上部の空いた壁を立てて、その向こうをウォークインクローゼットとした。あえて建具をつけず、風通しを確保する。バスルームや洗面所などの水回りと行き来しやすい位置にあり、家事動線としても使いやすい。壁はM邸のテーマカラーでもあるややグレイッシュな水色で塗装。空間に明るさをもたらしている。
玄関脇にある収納スペースの既存扉を冴えたイエローで施主自ら塗装。ダークカラーの既存の床とのコントラストが映える。1階にとにかく光を多く取り入れたいと考え、玄関とLDKを隔てる引き戸はガラスが入ったものを使用。古い和の建具を扱う葉山の古材店「桜花園」で施主自ら買い求め、格子部分をペイントすることでイメージチェンジした。水回りへと続く通路は上部をアーチにして遊び心を。真っ赤に塗装したドアが効果的な差し色となっている。
2階の3部屋はフローリングを無垢材に張り替えた他は、ほとんど施主MさんがDIYでリノベーションした。洋室の味わいのある天井はそのままに、調湿作用を持ったテクスチャーのある白の塗料で壁を塗装。既存のドアもノスタルジックなグリーンに塗り替えた。
洋室の隣に続く2つの和室も、丁寧にマスキングをして木部の茶色を程よく残しつつ、壁・天井・襖を白く塗装し雰囲気を変えた。