水平線が見える芝生の家
所在地: 葉山町下山口
規模: 30坪 / 2LDK
家族構成:---
「集まって住む」。エンジョイワークスが提案する「ヴィレッジ」は、複数戸のスケルトンハウスが、その土地の持つ眺望、日当たり、風通しなどの自然の恵みを共有し、互いの境界をブロック塀などではなく植栽で緩やかに仕切りながら、全体として美しいランドスケープを持った緑のコミュニティとして共生するという住まい方です。葉山の小高い丘にある「TURF VILLAGE」は2棟のスケルトンハウスからなり、この場所を気に入ったKさんご一家と弊社が土地を共同購入するところからプロジェクトが始まりました。中央に2棟分の駐車場を取ったことでヴィレッジに抜け感が生まれ、敷地に敷きつめた芝生は遠くの山並みに溶け込んで葉山のまちと一体になる緑の集落を形成しています。[ 2016年5月竣工、写真:
東涌写真事務所 ]
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敷地へ入って正面に建つA棟は建売住宅として販売中。外壁に使用しているのはアピトンというハードウッドで、きめ細かく節のない表情が特徴。すっきりと端正な印象に仕上がり、時を経るとシルバーグレイへと美しくエイジングしてゆく。山々と芝生の緑の中で箱形のスケルトンハウスが引き立つように、正面の窓は少なく、小さめに、リズムを持って配置し、ギャラリーや美術館のようにミニマムでありながら存在感を放つ佇まいとなっている。ルーフバルコニーからは北東から南にかけて連なる山の稜線が、そして西には青い水平線が見渡せる。
*物件情報の詳細
A棟の玄関ドアを開けるとニュアンスのあるグリーンの天然石を敷いた土間が奥の壁まで一直線に続いている。正面には途中から踏み板だけになっている階段が螺旋を描き、太陽の移ろいと共に壁に落ちる影が形を変える。左手は多目的のスペースとなっており、通常の居室としてはもちろん、例えば自宅でのヨガスタジオやピアノ教室など、住み開きにも対応できる。右手にはもう一つの居室。
玄関の土間の右手には扉付きの部屋を設けた。北側に位置するが、大きな開口部から自然光を取り込み、十分に明るい。写真右側を頭にベッドを配置すれば、深く静かな眠りが得られそうだ。床はオークのヘリンボーンにウレタン塗装を施したことで光沢が生まれ、窓からの光をより拡散させている。
眺望の良い2階は広いLDKとし、奥の扉の向こうに浴室やパントリーを設置した。家族がいちばん多くの時間を過ごすことになるこの部屋には3方に窓があり、光をたっぷりと取り込みながら、葉山の連なる山々を眺められる。オリジナルに造作したキッチンは白いタイルや天板と木とのコンビネーションがナチュラルな清潔感を感じさせる。作業台の下に空間を設け、母親がキッチンに立つ間も、たとえば子ども達が秘密基地に見立てて遊んだりしながら一緒に過ごせるようにと設計した。シンクの背面にある棚の側面は黒板塗料で塗装、家族のコミュニケーションボードにもなる。
緑に包まれて暮らすこの家の1階のトイレには、南国の森の中を想起させるような壁紙をアクセントに。また、2階の浴室はハーフユニットを採用。壁には上品なグレージュの大判タイルを用い、天井は木張りで、上質な雰囲気に仕上げた。明かり取りのために高めの位置に開けた窓がおこもり感を感じさせる落ち着きのある空間。