バイク小屋のある家
所在地: 横須賀市秋谷
規模: 2LDK / 24坪
家族構成:夫婦
付近から海と漁港を見渡せる秋谷の小高い丘の上に、バイク小屋のあるスケルトンハウスができました。自然農園や牧場、手作りのパン屋や野菜たっぷりの古民家食堂など、自然とカルチャーに恵まれた豊かなこのエリアにナチュラルで等身大の暮らしを愛するWご夫婦が構えた家。時を経るほど味の出る厚さ3cmの杉板を敷き詰めたフローリング、革職人である旦那さんの手仕事による室内のアクセント、古い建具を扉に使い、浴室はヒノキの木張り、室内の壁はすべて2人でコツコツ漆喰や塗装を施しました。「ピカピカのものより、味わいや手触りのあるものが好き」というWご夫妻の素材を生かしたこの家は、20年後、家そのものが無二のヴィンテージになっているに違いありません。[ 2016年8月竣工、写真:
東涌写真事務所 ]
1階のキッチンは、中心部に落ちた柱を起点にL字型に造作。木部は「アーリーアメリカン」という渋めのトーンのオイルステインで塗装、天板のステンレスと共に使い込むほどに味わいを増しそうだ。背面に取り付けた棚の引き戸は、葉山の桜花園にて施主自らが買い付けてきたもの。壁沿いに手すりのない階段が2階へ伸び、それ自体がオブジェのように空間に変化をもたらしている。キッチンスペースのみに天井を張り、リビング・ダイニング部分は天井のない「現し」の仕上げとし、より開放感のある空間とした。
玄関ドアを開けると、モルタル風仕上げの左官材モールテックスを用いた土間の廊下が続く。壁沿いには収納棚を設け、愛用の靴やブーツをたくさんしまう予定だ。棚の取っ手は、革職人である旦那さまが作ったオリジナル。窓の位置を、足元と頭上に2ヶ所設置。あえて目線ではない位置からの光が、ほの明るい落ち着きのあるエントランスにしている。突き当たりの壁にはPORTER’S PAINTSの日本限定色である「二藍」をDIY塗装。
2階の大きな開口部に面した部屋は、現在はセカンドリビングとなっており、将来家族が増えた場合には夫婦の寝室として考えている。1階と同じく、床には厚さ3cmの杉板を敷き詰めた。古来寺社などにも使われたという上質な杉で、足触りが柔らかく心地よい。
バスルームは2階に設置。ハーフユニットタイプを採用し、壁面と天井にはヒノキの板を張った。バスルーム全体が森林の香りに包まれている。浴室を挟むように設けた2部屋のうち、北側の部屋が現在の寝室。クリーム色の漆喰をWご夫妻自らDIYで塗装した。
玄関扉の取っ手に掛けた革とキャンバス地のバッグは、なんと「ポスト」。センスの良いWご夫妻ならではの発想だ。家の北側にはスケルトンハウスを小さくしたようなバイク小屋を設置。大切にしているヴィンテージバイクの寸法を旦那さまが念入りに計測し、設計図面に盛り込んだ。外壁は母屋と同じレッドシダーを張った本格派だ。