知性を感じる家
所在地: 葉山町下山口
規模: 3LDK / 30坪
家族構成:夫婦+子ども1人
家の中心に大胆な吹き抜けのあるO邸。その南側の壁面に設けた大きな開口部からは、溢れるほどの光が注ぎ、隣地に広がる果樹園や、夜には星までも眺めることができます。吹き抜け部分の天井高は5mを超え、実際のサイズ以上に広々と感じられる1階は、奥に寄せたキッチンから全体を見渡せる配置。ゲストルームを兼ねた畳の小上がりも含め、人が集まる場所としても実に心地良いしつらえです。2階は吹き抜けを囲むように書斎、図書館のような書棚、浴室や洗面所などの水回り、模様ガラスの飾り窓がある寝室が配置されています。各所に施された優美なディテールもさることながら、自分たちのライフスタイルを明瞭にイメージして必要な要素を機能的に配置することにより、つくり込みと全体性の均衡が取れた知性を感じる家となりました。[ 2015年10月竣工、写真:
東涌写真事務所 ]
玄関からリビングへは天然石の土間、大容量の収納スペースには下足はもちろん海や山で遊ぶ道具類も納められる。清々しい青の塗装は、施主自ら2色の青色の黒板塗料を混ぜて調色。幼くもなく、落ち着き過ぎてもいないトーンの「オリジナルの青」は、この家の明るいアクセントであると共に、チョークなどで自由に描け、家族間のコミュニケーションボードにもなる。
オークの無垢材に施主自らが蜜蝋を塗って仕上げたナチュラルな床と対照に、キッチンのステンレスの硬質な表情が映える。レストランの厨房を思わせるフラットで無駄のない作業台の頑強な雰囲気を、壁のモザイクタイルの繊細さが和らげている。
薄いグレーの引戸を開けると、琉球畳を敷いた3帖の小上がりが出現。ゲストの寝所としても使える他、将来的には子ども部屋としても想定、棚をしつらえた。畳下は収納スペースとなっている。
2階の南東側には旦那さまの書斎を設置。壁は下地としても使えるシナ合板とし、今後自由にDIYできる余白を残した。吹き抜けを挟んで向こう側には寝室を。外へ向けた開口部の他に、模様ガラスの飾り窓を吹き抜け側に向かって造作し、三方から自然の光の移ろいを感じることができる。
洗面台は造作で仕上げた。シンプルなシンクと白のタイルをベースとした清潔感のある空間に、アクセントのブルーグリーンの六角形タイルが、異国めいたノスタルジックな情緒を添えている。バスルームにも深海のようなブルーを選んだ。