スタイリストが手がけた家
所在地: 葉山町堀内
規模: 1LDK / 27坪
家族構成:夫婦+子ども2人
この家は、スタイリストの石井佳苗さんに内装のディレクションをお願いしました。「DIYとはライフスタイルを豊かにすること」と石井さんは言います。木工や手芸といった狭い意味ではなく、暮らしそのもの、ひいては人生そのものを自分の手でより幸せなものに作り変えていくことがDIYの真髄。この家の内装は、もともとこの地にあった古家の建具やアンティークの洗面台などの古いものと、新品の設備・部材など新しいものとが不思議に調和し、溶け合っています。ナチュラルさの中にどこかノスタルジックで、大人っぽい洗練された空気を感じさせる独特のスタイリングは彼女ならではの世界観。ここで月日を重ねるのが楽しみになる家に仕上がりました。[ 2015年3月竣工 、写真:
東涌写真事務所 ]
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1階の床はシナベニヤをパッチワークのようにいろいろな貼り方で貼り、オイルステインで仕上げました。間仕切りがない空間にも表情が生まれます。もちろん間仕切りは好きな位置に後から設置可能。玄関ドアの内部はウォルナットをヘリンボーンに貼った、たたきとなっています。
TOTOのアンティーク洗面台が主役のパウダールーム。ほんの少しグレイッシュなトーンを混ぜた壁の色と、床のタイルの濃いグレイが空間を引き締めています。戸棚に取り付けた鏡は古い建具を利用したもの。洗面台の反対側にはバスタブ。外から直接出入りできるドアが付いており、海遊びからそのまま直行できる導線になっています。
2階はキッチンとダイニング、そして多目的に使えるフリースペース。錆加工した足場板の床材が、空間全体のトーンを大人っぽく調和させています。正面のグレーがかった壁はモルタル風の仕上げに。間が香り立つような、唯一無二のニュアンスのある壁となりました。
まるでお気に入りのカフェや雑貨屋にいるように、何時間過ごしても心地よい場所になるように。何気なく置いた道具が、そのまま絵になるようなキッチンです。足場板をつかったオリジナルの作業台も、ざっくりとしていながらどこかシックで、ミルで豆を挽いて丁寧にコーヒーを淹れたくなる雰囲気。キッチン下の棚の扉には、あの解体された古家の建具を再利用しています。仕切り壁には木の模様を楽しめるラーチ合板でそのまま仕上げ、DIYで棚やフックなどを自由に付けられるようにしました。入居後も、住まい手の変化に合わせて遊び続けられる家。DIYの楽しさと可能性を熟知した石井さんならではのインフィルとなりました。
ユニークな土地の形を最大限に活かし、ウッドデッキとルーフバルコニーを設計しました。ルーフバルコニーからは富士山に江ノ島、そしてきらきらと光る海が望めます。360°の眺望を楽しめる広いルーフバルコニーは、この家のもう一つのリビングとして活躍できそう。ウッドデッキの下にはハンモックやブランコを吊り下げたり、サーフィンのボードやアウトドア用品をしまっておく収納棚もつくれます。