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地域と旅人をつなぐ、築130年の宿「土肥邸」再生プロジェクト -間取り編‐
公開日:2024/10/16
所在地: 富山県立山町
規模: 100坪
鎌倉の設計事務所であるエンジョイワークスが、富山県立山町の築130年を超える古民家を、地域交流と滞在が楽しめる宿泊施設に再生。伝統構造も生かし、広い土間やカフェデリを設け、最大12名が泊まれる貸し切り宿にリノベーションしました。地元の郷土料理も楽しめる暖かい空間です。
立山町の魅力を宿泊施設で伝えるプロジェクト
富山県立山町の土肥邸は、東にそびえる剱岳を望み、手前には美しい稲田が広がっています。屋敷林に囲まれて静かにたたずむこの邸宅は、かつて近隣の集会場としても使われた、建坪100坪を超える立派なお屋敷です。
この場所を、まるで実家のように居心地が良く、地元の人々が集い、旅行者との交流が生まれる場にしたい。そして、立山町の本当の魅力を感じてもらえる宿泊施設にしたい――そんな思いを胸に、富山県の製薬会社「前田薬品工業株式会社」の前田大介さんが、私たちにリノベーションを依頼してくれました。彼の熱い想いとともに、プロジェクトがスタートしました。
今回は、その間取りについてご紹介します。
築130年の建物に命を吹き込む
築130年を超えるこの建物は、しばらく人が住んでいなかったため、傷みが目立ち、屋根裏にはコウモリが住みつき、使われなくなった物も山積みの状態からのスタートでした。しかし、さすが歴史あるお屋敷です。北陸地方特有の伝統構造である「枠の内」や、立派な柱と梁、職人技が光る建具など、リノベーションの素材として活かせる要素がしっかり残っていました。
無限の可能性を秘めた間取り
リノベーションでは、構造の骨格となる柱や梁、残さなければならない部分が多くありますが、それでも間取りの可能性は無限です。
最初に提案したプランでは、建物を大きく二つのゾーンに分けました。左側は宿泊スペース、右側は「枠の内」につながる広い和室にしました。ここは、地元の人々が集まり、寄り合いなどが開かれることを想定した空間です。また、土間は半分を屋根だけの半屋外スペースに、残り半分を広い廊下のような多目的な空間に設計しました。
試行錯誤の末、完成した間取り
初回のプランに対して、「もっと広い土間があり、靴を脱がずに集まれるスペースが欲しい」という要望を受け、第2案を作成しました。この案では、右側にカフェデリコーナーを設け、テイクアウトもできるようにしました。
最終的なプランでは、和室部分を「枠の内」として残しつつ、その他のスペースを大胆に広い土間に変更。カフェデリコーナーは「枠の内」の横に配置しました。
下の写真は、土間から枠の内とカフェデリコーナーのカウンター方向を見ている写真です。枠の内と土間の間には30㎝ほどの段差があり、最初の提案に近い形になりました。
土間スペースには、前田さんが自らセレクトされたモダンなデザインの家具たちが並び、古民家の柱梁が醸し出す雰囲気とマッチして、素敵な空間に仕上がりました。
カフェデリコーナーでは、地元の”おかん”が作った美味しい懐かしい富山の郷土料理がいただけます。
宿泊エリアは最大12名まで宿泊できる貸し切りの宿としてオープンしています。
お宿:土肥邸母屋
次回は、お宿スペースに隠された設計裏話をお話できたらと思います!
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