リノベーションは、完成した姿だけでなく「つくっている途中」もいいんです!
ドキドキとワクワクの入り混じった、とある戸建て住宅のリノベ中の現場から、設計士の視点で建設中の様子をご紹介します。
リノベでどうなる?この2部屋
現在、ある戸建て住宅のリノベーションが進行中です。水回りの設備を入れ替えるほか、1階の2つの部屋を1つの大きな部屋にしようとしています。
上の写真はリノベーション前のもとの2部屋の様子です。隣り合う和室と洋室をひとつにつなげて、広々とした空間にする計画です。完成後は、卓球もできる多目的スペースになります。奥の出窓を覚えていてくださいね。このあとこの窓を中心に工事の進行写真をご紹介していきます。
解体はドキドキの瞬間!
上の写真は解体直後の様子です。雑然と見えるかもしれませんが、解体しながら処分する畳や壁材など素材別に集めて整理されています。床下や天井裏があらわになっています。部屋の間にあった壁のボードも撤去されて、柱と筋交い(すじかい:ななめの木材)が見えています。この柱と筋交いを残して、ひと続きの部屋に生まれ変わります。
解体は設計士にとっても少しドキドキする段階です。梁や柱が傷んでいないか、ほかに優先して直すところがあるのか、などが見えてくるからです。想定と違ったところに柱が梁が入っていたり、思ったより補修が必要だったりすると、間取りを変更したり、補修費用を追加しなければならないこともあります。そのときは工務店さんと連携して知恵を出し合い、最終的にお客様の理想をかたちを目指して工事を進めていきます。
床の下が大事!楽しい暮らしを支える屋台骨をつくる
卓球もできるようにというご要望に応えて、床の構造を強化します。上の写真のあとの工事段階で、床の下地となる「根太(ねだ)」という部材を通常より多く入れ、よりしっかりとした仕上がりを目指しました。
こうした細かな仕様も、設計士が現場の工務店さんと綿密に打ち合わせを重ねながら進めています。
床ができました!天井はどうする?
床の下地工事のあとは、フローリングを張ります。完成直前まで汚れないように”養生”をします。上の写真に見えている床の茶色い板が養生として張られています。この下に真新しいフローリングが……。早く姿を見たいものですが、完成までのお楽しみです。
天井には立派な梁と整然と並んだ2階床の根太材が見えています。
この状態もいいね!とよく現場でも、お客さまともお話があがります。
このまま天井板を張らなくてもいいのですが、天井板がないと2階で歩いた音や多少のホコリなどがダイレクトに伝わってきたり、1階の部屋の照明器具のつけ方を考えなくてはならなかったりと、いろいろと検討が必要になります。
それらを十分踏まえたうえで、天井をあらわし状態(このまま)にするか、天井を張るか決めていきます。
今回は予定通り天井を張ることになりました。
「一緒につくる」から生まれる心地よさ
仕上げ工事の段階まで来ました。ここまでくれば、もう2部屋だったことを思い出せないくらい、すっかり一つの部屋になっています。中央の柱と筋交いがいいアクセントになって、建物の歴史を伝えてくれるでしょう。
この残された柱や筋交いの使い方もまた楽しかったりします!棚をつけたりグリーンをあしらったり……
リノベの楽しさはまだまだお伝えしたいところですが、長くなってしまうので今回はこのへんで。
また現場リポートお伝えしますね!
いつだって家づくりの主役はそこに住まう人。
設計士や建物作りに携わる工務店さんや職人さんは、住む人とともに話し合いを重ねながら、全力でサポートします。
リノベーションは新築と違い、元の建物が持つポテンシャルをどう引き出すかが難しいところ。残せるものは活かし、傷みが進んでいる箇所は思い切って取り替える。これからも長く安心して住み続けられるよう、建物の状態を見極めながら、コストとのバランスを取る判断が求められます。見えない部分にこそ、経験が生きてくるのです。