インタビュー
家づくりを経験して変わった「暮らしに対する考え方」
公開日:2024/05/05
所在地: 葉山町長柄
規模: 24坪
家族構成:夫婦+子供1人
葉山に暮らして感じたこと
お子さんが生まれるタイミングで家を探し始め、自然のあるのんびりとした環境を求めて葉山に移り住まれたKさん一家。
葉山の美しい山並みに囲まれ、近くには川や田畑もあり、里山の雰囲気を感じることもできる環境に建てたスケルトンハウス。
お引渡しして4年半が経ちました。家づくり当時のことや、暮らしてみてわかったことを、設計を担当した石川がインタビューさせていただきました。
山並みがほんの少し紅葉し始めた11月の葉山、穏やかな光の入るKさん宅のリビングルームにて。
石川:「以前暮らしていた横浜では、ご夫婦のみという家族構成の影響もあったかもしれませんが、ご近所づきあいはほとんどなかったとのことですが、葉山に暮らしてみていかがですか?」
Kさん:「葉山だからなのか、たまたまこの場所がそうなのかも知れませんが、ご近所との付き合いがいい意味で田舎臭いというか、あまりドライじゃなく、例えば今の季節だと庭で取れたさつまいもをお隣にあげて、お隣からは逆に里芋をもらってとか、そういうちょっと田舎っぽいお付き合いがあります。
子供同士の繋がりで広がっていくお付き合いもあったり、みんなでバーベーキューをしたり、海水浴に行ったり、キャンプに行くこともあり、すごくいいところに住んだなと感じています。」
石川:「数ある設計事務所の中から、弊社のスケルトンハウスを選んでくださった理由をお聞きかせください。 」
Kさん:「ポイントがいくつかあるのですが、一つ目は、外観がすごくシンプルで、時代を選ばないというところが自分の好みでした。
二つ目は、インフィルが自由に作り変えができるという点ですね。
普通の設計だと、どうしても邪魔な位置に柱が出てしまうなどの制約があると思うのですが、スケルトンハウスにはそれがなかった。」
石川:「スケルトンハウスは、2階の空間には柱は一本もなく、1階には1本だけどこかに設定すればよいという構造の仕組みなので、間取りを考えるときに、柱が邪魔になるということはないですね。 」
Kさん:「柱がないということは、住んでからも間取りを変えることができるということで、それがすごく自由でいいなって感じました。
三つめのポイントは、全館空調ですね。
以前住んでいた家では、湿気と寒さに悩まされていました。
気密性の高い家で、空調を1箇所に置いて、家全体を温めたり冷やしたりする仕組みが、すごくシンプルだし暮らしやすそうだなって感じました。
この三点で、スケルトンハウスに決めました。」
スケルトンハウスは、家づくりの過程でも、お施主様に主体的に取り組んでいただく仕組みですが、Kさんには積極的に家づくりに取り組んでいただきました。
Kさん:「大変だったところは、もうやったことない初めての体験で、例えば窓の位置とか、扉の色や形に至るまで、一つ一つ自分で決めていくという作業が、すごく時間もかかるし、大変ではありました。」
石川:「スケルトンハウスは、家づくりを各ステップに分け、打ち合わせまでに取り組んできていただく宿題があるのですが、Kさんは一つ一つにじっくりと取り組み、悩みながらも「自分の答え」を導き出していらっしゃった印象が残っています。 」
Kさん:「家づくりをする過程で、自分が悩み考えたことが、「家」という実際に形あるものになるということの良さは、暮らしてみてから実感することができました。これはやってみて分かったことですし、よかったことですね。」
Kさん:「この家を建てる時に、子育てをする場所という前提がまずあって、自然の中で伸び伸びと育てたいというのが念頭にあったので、例えば、窓を大きく取って自然とのつながりを感じられるようにしたいとか、バルコニーやデッキを広く作って室内との連続性を持たせたいとか、そういった自然とのつながりは強く意識しました。
ここは本当に、狙い通りにはまったなと、暮らしながら実感しています。
あとは思っていた以上に活躍したのは屋上です。」
石川:「予算の都合で、一時減額の候補にも上がりましたが、結果的に屋上は作ってよかったということですね! 」
Kさん:「それ以外にも、結構細かい部分もこだわってつくったので、それが狙いを外さずぴたっとはまっていて、快適に過ごせています。」
石川:「DIYについてはいかがですか?」
Kさん:「1階の庭に続くウッドデッキは引き渡しの後に自分達で作りましたね。
後は、細かいところですが台所やあちこちに棚をつけたりとかは、後からちょこちょこ自分で手を入れていった部分ですね。
打ち合わせをしていた頃は、DIYはやらないというか、やりたくないとお話していたと思うのですけど、住み始めてから自分であれこれ手を入れられることが楽しくなってきたというか。 それも住んでみるまでは分からなかったことですね。
父が日曜大工の鬼のような人で、資格もちゃんと持っていて電気配線まで自分でやってしまうような人なのですが、1階のウッドデッキも、自分たちで寸法を測り、材料を取り寄せて、自分たちで組み立てました。その体験を通して、DIYというのものは、自分の好きに作ることができることなのだと気が付くことができました。」
石川:「家づくりという体験を経て、変わったことはありますか。 」
Kさん:「そうですね。住むことが自分ごとになったって言ったらいいですかね。
自分たちが考えて、形にしたところに、自分たちが住んでいる、そして住んでからもここはもう少しこうしたいと思う部分があれが、自分でどういう風にすれば実現できるかを考えて形にしていくということができるようになりました。
今までは、自分で考えるという発想自体がなかったので、それは確実に家づくりをして変わったポイントだと思います。 」
最後に、家づくりを検討中の方へのメッセージをお願いしました。
Kさん:「4年半経った今思うのは、当時設計をしていた時に、私が育児休暇を取っており、仕事をお休みしていた時期だったので、素材や情報を集めることに、十分時間をかけることができました。当時時間をかけたおかげで、今快適に暮らすことができているので、家づくりには時間をかけられるだけかけた方がよい、というのが私の持論です。
家づくりって、誰か個人の思いだけではなくて、例えば奥さんとの話し合いや、妥協するポイントの探り合い、子供の希望がある家庭もあるだろうし、色々なものが絡み合うものだと思うのです。
誰か一人でスパッと決めて終わり!ではなくて、家族の中での話し合いや、落としどころを一緒に探していく作業にはどうしても時間がかかるので、しっかり時間をかけて家づくりをすることができてよかったなぁと思っています。」