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リノベーションの内装デザインを考える
公開日:2025/01/26
所在地: 愛媛県松山市道後
今回は、設計がリノベーションをする時に、どんな風に内装デザインを考えて決めているのか、昨年の秋に完成した道後温泉の近くの宿「FEET DOGO」を題材にして、そのプロセスをまとめてみました。
まずはテーマ決めからスタート
リノベーションで最初に大事なのは「どんな空間にしたいか」をテーマとして決めること。今回の建物は、道後温泉の近くにあるRC平屋住宅で、もともと大家さんの祖父母が住まれていたお家でした。
デザインのテーマは依頼主と相談しながら決めることが多く、コンセプトや立地、建物のイメージなどから、キーワードを出し合って決めていきます。
今回は「3世代がくつろげる宿にしたい」という依頼主の想いと建物の歴史から、「大正ロマンなデザイン」をテーマにリノベーションすることになりました。
テーマを決め、イメージを共有しておくことは大事な作業で、後々迷ってもここに立ち戻ることができます。じっくりと話し合い、解像度を上げて共有しておくことをお勧めします。
建物の中にある"お宝"を探そう
テーマが決まったら、次に行うのは既存の建物の中で生かせる素材を探す作業です。私たちはこの作業を「お宝ハンティング」と呼び、ワクワクしながら進めています。
樹脂やビニールを使ったいわゆる新建材と呼ばれる素材がなかった時代に作られたものは、無垢材やしっかりした素材で作られているものも多く、磨けばまだまだ使えるものが残っていたりします。また主張しないデザインの設備類も、再利用するとコストの削減もできます。
今回は、隣の蔵に合ったものも使ってよいとなっていたので、蔵の中にあった立派な金の屏風と、お風呂の壁のとても素敵なモザイクタイル、リフォーム時に設置されていたいくつかの照明器具と洗面器具が新品同様でしたので、そちらを使わせてもらうことにしました。
新しい素材選びは"バランス”が命
残せるものが決まったら、予算に合わせて残りの素材を決めていきます。心がけていることは、座ったり、手が触れたりする部分に使う素材は、なるべく樹脂やビニールなどを使った素材を選ばないようにするということです。残した本物の素材と並んだ時に、本物の素材に負けてしまって、バランスが悪くなり、ちぐはぐな印象になったりするからです。使い込んで時間が経てば経つほど、その差は広がっていくので、完成した瞬間ではなくて、使い込まれていく時間の経過も設計時に考えていた方が良いです。
面積が大きい床は、予算が限られる場合は、無垢の中でも安価なものを選びます。今回は、カバ桜の無垢材(お値段を抑えたもの)を選び、宿ということで非日常感を出したかったので、貼り方を工夫することで、空間に変化を付けました。
昔のタイルを浴室の主役に!
今回のメインの一つでもある、浴室の壁の残っていたモザイクタイルは、建築当時からあったもので、「INA ART」(INAX製:現リクシル)と書かれたタイルが貼ってありました。こういう昔の社名ロゴが入っていたりすると、リノベ好きとしては、キュン来てしまいます。(「ナショナル」と書かれたコンセントや照明器具などもいいですよね、共感してくださる方いますか?)
話がそれてしまいましたが、当時から色褪せていないであろうモザイクタイルを主役にしたバスルームをデザインしました。モザイクタイルを壁画に見立てて、アーチ型のフレームで囲み、天井もアールをつけて仕上げました。壁や天井の塗装も、真っ白ではなくアイボリーを、浴槽の周りタイルも懐かしい色味のグリーン選び、全体として、色調が揃うように考えました。
ドアが空間の印象を決める
リノベーションの内装デザインの中で、かなり大事なポイントになるのが、建具(ドア)類です。建具は、全体の雰囲気を決めるのに、かなり重要な役割を果たすので、慎重に選びます。使えるドアや引き戸や障子があるときは、積極的に利用します。今回も1か所は元々あったドアを一本使いました。(ドアノブが真鍮の小さな丸形で、とても可愛らしい!)それ以外は、アンティークのドアを扱っているお店から購入しました。サイズを調整してくれるところもあって、新品のドアと同じくらいの価格で購入でき、今では作れない凝ったデザインのドアもたくさんあるので、選ぶのもとても楽しいです。今回は、リビングの入り口のドア、広い方の客室ドアはアンティークのドア屋さんから購入しました。
長々と書いてしまいましたが、一回のブログでは書ききれないこともあったので、また続きを書きたいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
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